《 ナンシー・ピカード 》

Nacy Pickrd

1984年、『死者は惜しまない』(原題:Generous Death)でデビュー。

ミズーリ生まれのミズーリ育ち。

雑誌記者などを経て、たまたま作家会議の為

カンザス・シティーに来ていたニューヨークのエージェントに紹介されて

作家の仲間入りを果たす。

市民財団の所長であるジェニー・ケインを主人公にしたシリーズは、

年に1本のペースで書き続けられており、

『扉をあけて』(原題:TWILIGHT)まで10作。

その内4作品が何らかの賞を受賞している。

現在もカンザス・シティ在住、既婚。

作家の名をタイトルにしながらその実、

主に本の中の主人公を語ってしまうという結果になっていたが、

今回は作家その人にスポットを当てて…と思い、

ナンシー・ピカード検索したけど全然出て来ない。

そこで私の手元にある文庫の「訳者あとがき」から判明した事をご紹介したら

↑のようになった。。。

シリーズの内、9作も翻訳出てるのに公式サイトがないなんて信じられない。

面白いのになぁ。

(原因は私の検索下手なのか?)

とにかく彼女ほど賞に縁のある作家は珍しい。

1985 恋人達の小道 (Say No to Murder) アンソニー賞最優秀ペイパーバック賞
1987 結婚は命がけ (Marriage Is Merder) マカヴィティ賞最優秀長編賞
1990 虹の彼方に (Burn Steer) アガサ賞最優秀長編賞
1991 悲しみにさよなら (I .O.U) マカヴィティ賞最優秀長編賞

受賞作品が多いからといって、作家の良し悪しを判断できるものでもないが

実力のほどはわかって頂けるのではないか?

物語は社会派ネタが多いが、

語り口は軽妙で、特に会話は秀逸だと思う。

ヒロイン・ジェニーと彼女の夫君の警部補、ジェフとのやり取りは

時にシリアスであるが

ニヤリとさせられる一面もあり、私は憧れてしまう(笑)。

例えば、理想主義者は嫌いだと言ったジェフに

ジェニーが問いかけるシーン。

「警官はみんな理想主義者だわ、ちがう?
そうじゃなかったら、どうして警官になるの?」

「金のためだ。」 ジェフはニヤニヤした。「決まってるだろ?」

「私は並の理想主義者よ」

「並なもんか。だがそれを証明しろとは言うな」

(ハヤカワ・ミステリ文庫「扉をあけて」92ページ)

二人の性格が良く顕れた会話だと思うがどうか?

最後のジェフのセリフは、確かどこかで使わせてもらった記憶がある(笑)。

さて、シリーズの方はもちろんミステリーであるから、

起こるべくして殺人事件は起こり、

その解決に奮闘するヒロインのジェニーが描かれているのだが

それと並行してジェニー自身の人生も

1作ごとにベールを脱ぎ、語られて行く。

人の良いハンサムな父、今は亡き母の隠された秘密、

誰の眼をも惹きつけてしまう美しい妹との確執など

欠くことのできない人物描写も作を重ねる毎に輪郭がくっきりしてくる。

裕福な家に生まれながら、生家の没落と共にジェニーの人生は大きく変化する。

後にその原因が、親しくしていた人々の陰謀によって仕組まれた事がわかり

ジェニーは苦悩し、激怒し、

そしてシリーズ第10作の最新作「扉をあけて」で

信頼できる仲間と自分達の財団を立ち上げるのだ。

様々な問題を含んでもつれていた家族関係は

第8作の「悲しみにさよなら」で謎解きされ、

シリーズは完結したかと思えた。しかし…。

新たな展開でまた読者を楽しませてくれるようである。

1994年のアメリカ図書協会発行のブックリストは、

第9作を次のように評している。

ピカードはどんどん良くなっている。

彼女の描くヒロインのジェニー・ケインの知性と

きっぱりした性格にはますます深みが出てきたし、

当初から非凡だったプロットにはいよいよ磨きがかかり、

洞察力と思考力が増して、刺激的になってきた。

とすれば、ピカードの最新作が最高傑作になるのは

当然のことである。

この第9作とは、邦題「夢からさめても」(原題:CONFESSION)の事。

別コンテンツのタイトルはここから頂いたものである。

ナンシー・ピカード、

作品全体の底辺に流れるソフト・フェミニズムの精神が

私を魅了してやまない作家の一人である。

(07/07/00)


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