《 スー・グラフトン 》

Sue Grafton

1941年、ケンタッキー州に生まれる。

弁護士でありながら小説家でもあった父親の影響で、幼い頃から作家を夢見、

長年TVドラマの脚本を手掛けるかたわら、普通小説も発表。

'82年、ミステリーとしては処女作の「アリバイのA」で世に認められる。

以降、カリフォルニアの架空の都市サンタ・テレサに住む女性探偵、

キンジー・ミルホーンを主人公にしたシリーズは、

アルファベット順にそのタイトルがつけられており、

米国では「“O”is for Outlaw」(ハヤカワ・ノヴェルズ近刊)、

日本では「縛り首のN」まで刊行されている。

シリーズ2作目の「泥棒のB」で、

アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞&アンソニー賞受賞。

シリーズ12作目の「無法のL」は、全米ベストセラー第1位を獲得した。

タフで誠実、ウーマンリブのように男に対して目くじらをたてるわけでもなく、

肩ひじ張らずに生きていく、

カリフォルニアの女性探偵キンジー・ミルホーンは、

35歳(「悪意のM」現在)、独身。離婚歴、2回。

人口8万の美しい町、サンタ・テレサでひとりで私立探偵事務所を経営している。

セクシーで魅力的な81歳の家主が貸す元ガレージのアパートに独り暮し。

ペットなし、植木なし、子供なし、両親兄弟なし。

シンプルな生き方をモットーに、シニカルでクールな目をもちつつ、

人間的な優しさを忘れずに、根気良く徹底的に事件を解決していく…。

これが、キンジー・ミルホーン(「アリバイのA」:訳者あとがきより)。

ケイ・スカーペッタ(P・コーンウェル)、V.I ウォーショースキー(S・パレツキー)、

そしてこのキンジーは、数ある女性を主人公にしたミステリーの中でも 

抜きん出た3人と言えるのではないだろうか。

グラフトン描くところのキンジー・ミルホーンは、

おしゃれ興味なし、お料理興味なし、だがきれい好き。

応答サービスよりも留守番電話を好み、調査した過程を綿密にインデックスに綴り、

事件解決の糸口を掴む。性格的にはヴィクと正反対。

デビューの時期が同じだった為、いつも比較されてきたパレツキーとグラフトンは、

実は実生活においても、あまり“仲の良いお友達”ではなさそうだ。

その事を知ってか知らずか私は、パレツキーの作品を先に読んだ為、

グラフトンを無意識のうちに避けていたように思う。

本屋さんで見かけても、背表紙の色の煤けた(笑)「アリバイのA」を手に取るまでに、

かなりの時間を要したように記憶する。

何故か?

それは、私の偏見の賜物、タイトルであった。

アルファベット順につけるタイトルが、どこか安直に感じられ、

作品自体をも軽く考えてしまったからである。

パレツキーの一連の作品を読み終えて一息ついた頃、

「アリバイのA」が、私を手招きする(笑)。

読んでみると、グラフトン自身もパレツキーを意識しているとわかる箇所があり、

結構面白く読めたので、「泥棒のB」に自然と食指は動いた。

これが私を開眼させた!

(いかにも依頼人に報告書を提出しているような)シメの言葉、

“以上報告します”は、私のお気に入りになった。

以来、文庫で刊行されている「悪意のM」まで、本だなに収まっている。

もちろん、全て読んでます。

シリーズ中、一番評価が高いのは「無実のI」であるが、

私の大好きな作品は「探偵のG」。

殺し屋に逆恨みされ命を狙われたキンジーが、

ボディガードとして雇った探偵、ディーツ。

二人は恋に落ちて(?)結ばれるのだが、その印象深い別れのラスト。

彼はかならず帰ってくると約束した。

わたしは彼の言葉を信じたいが、確信はない。

かたや、わたしには自分の仕事があるし、

彼がいたためにより豊かに感じられるようになった人生がある。

(ハヤカワ・ミステリ文庫「探偵のG」406ページ)

そのディーツが今回の最新文庫「悪意のM」で帰って来た!

ディーツの突然の訪問に思わずキンジーの口を突いて出て来た言葉は

「ほんの2年と4ヶ月と10日ぶりね」

これから二人はどうなるんだろ?増々目が離せなくなって来た。

以上報告します。

(02/16/00)


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