《 偶然の旅行者 》

The Accidental Tourist

1988年アメリカ映画。

出演:ウィリアム・ハート キャスリーン・ターナー ジーナ・ディビス ビル・プルマン

監督:ローレンス・カスダン

12歳の息子イーサンを‘事故’で亡くしてから夫婦間に溝が出来、

妻のサラと別居中のメーコンは、「旅行ガイドブック」を主に手がけている作家。

取材旅行の為に愛犬のエドワードを「犬猫病院」に預ける事になった彼は、

そこで犬の調教師、ミュリエルに出会う。

彼女は‘虚弱体質’の7歳の息子アレクサンダーと二人暮し。

人付き合いの不得手なメーコンは、妻とはあまりにも違うミュリエルに戸惑ういを感じてしまう…。

大人の恋を「旅行のガイドブック」になぞらえて綴った、恋愛映画。

アカデミー賞脚本賞受賞。

ウィリアム・ハートは、私の一押しの男優である。上手い!!

彼の出演した映画、ほとんど好きだなぁ。

妻役を演じたキャスリーン・ターナーは、前に紹介した「サラ・パレツキー」の原作が映画化された折、

V.I ウォーショースキーを演じたグラマラスな美人女優だ。

しかし、この映画で一番光っていたのは、ミュリエル役のジーナ・ディビスである。

持ち前の魅力と明るさでメーコンを引っ張って行くさまは

観ていて微笑ましいし、恋する女の切なさを充分に表現していて、圧巻。

メーコンと暮らすようになってからの一風景。

家事にいそしむ彼女の口からこぼれる歌声は、

観ているこちらまで思わず、スイングしたくなるような軽快さだった。

幼い子供を亡くすと言う事が、人間にどれほどの苦悩をもたらすか。

それが事故とか事件がらみの場合、しかもその場に父親がいた場合、

母親の感情は、(夫ならば防げたのではないか、父親ならば守れた筈)となりがちである。

無意識のうちに夫を責めている妻の構図が浮き彫りになるのである。

そんな環境に置かれたメーコンの一服の清涼剤となるのが、ミュリエル。

妻とは全然違う魅力を持った彼女にメーコンは惹かれていくが、

ミュリエルを愛する事で、自分が背負わなければならない責任の重さに耐え切れず、

洗練された美しさを持つ妻の元へ帰ろうと決心するのだが、果たして?

サラとの再出発か、過去と決別し、ミュリエルと共に未来へ一歩を踏み出すのか。

芸達者な3人に寄り、色んなエピソードも織り交ぜて描かれる人間模様は、

メーコンの兄妹たちとのやりとりも含めて、飽きさせない。

兄弟そろって人付き合いが苦手で、妹は極度の方向音痴。

車を運転して出たのはいいが、家に無事に帰れないとか…(笑)。

しかし、管理能力に長けている彼女は、将来それを活かす道を見つける事になる。

兄弟妹4人でやっていたカードゲームの“ワクチンゲーム”も、興味深い。

医療用語が一種の切り札みたいだった。

TVだったら、放送禁止だろうな…。

メーコンの生き方を旅に例えて、旅行ガイドブックの作者である彼はこう説く。

「どんなに優れたガイドブックを持っていても、そしてそのガイドブックをどれだけ熟読していても、

一人ひとりの人生の旅には、アクシデントはつきものである。

そのアクシデントに見舞われた時、迷子になった自分を救うのは、ガイドブックではなく、自分自身である。」

ラストシーンは、ある人に向けられた、メーコンの満面の笑顔

脚本の勝利の瞬間。

ジーナ・ディビスは、この作品でアカデミー賞助演女優賞を獲得。

その後の活躍は、ご承知の通り。

ご存知ない方、「テルマ&ルイーズ」くらいは、観ましょうNE!

(02/04/00)


MOVIEs TOP