《 リトル・ダンサー 》

BILLY ELLIOT

2000年/イギリス・フランス

出演:ジェイミー・ベル/ジュリー・ウォルターズ/ジェイミー・ドラヴェン

監督:スティーヴン・ダルトリー

1984年、イギリス北部の小さな炭坑町。

母を亡くした少年ビリーは、父・兄・祖母との3人暮らし。

ひょんなことからクラシックバレエを始めることになった彼は、

指導を受けるバレエ教師に才能を見出され、

ロイヤル・バレエ学校のオーディションを勧められるのだが…。

いやぁ〜、久々に良い映画を観た。

前から観たかったのを、やっとWOWOWでやってくれるというので、

録画しながら観たのだが、素敵な映画だった。

主演のビリー少年を演じるジェイミー・ベルは、

ガリガリの身体を持つ本物の少年で、それでいて時折みせる大人びた表情が

ビリーの、現在おかれている環境を思い起こさせる。

イギリスの映画を観ると、炭坑労働者の悲哀を描いたものが多くあり、

不況に喘ぐ男達の苦悩の断片を切り取ってみせてくれるが、

この映画の主題は、そこではない。

ビリーの父親や兄は、ご多分に漏れずマッチョな感覚の持ち主で、

(そうなのだ、実は、ジェンダーばりばり)

例えそれがクラシックバレエであろうと、ダンサーなんて…と猛反対し、

ビリーを指導するバレエ教師に、悪態をつく始末である。

しかしある日、挑む様に踊るビリーを見た父親は、

お金の為に、ビリーの兄である息子や労働組合の仲間達を裏切り、

スト破りに荷担しようとするのだが、寸での所で息子に見つかってしまう。

俺達には夢はない!ビリーの夢を叶えてやりたいんだ、才能を伸ばしてやりたいんだ!

と絶叫する様は心に沁みる。

だが、この作品は、決してじめじめせず、カラっと乾いた感じが何とも心地よい。

オーディションの合否の通知が郵送で届いたその日、

結果を組合の仲間達に知らせるべく意気揚々と走る父親の姿で盛り上げておきながら、

聞かされた仲間達との温度差でズドンと落とされたり、

ある意味、素っ気無い程の

バレエ教師(恩師とも言える筈なのに)との別れの挨拶のシーン、

反対していた兄が見送りの時にビリーにつぶやく言葉など

泣き所はあるのに涙を流させない手法は、

あざといとも言えるほどである。

ただ、少し痴呆の症状がある祖母がビリーをぎゅっと抱きしめた後、

自分の決意を示す様にビリーを送り出すシーンは

私もぐっと我慢した(しなくても良いのに…)。

引っ掛かるところがあるとすれば、ゲイっぽい同級生マイケル君と

バレエ教師のウィルキンソン先生の扱い方

前者は、別にゲイであろうとバイであろうとヘテロであろうと構わないのだが、

ビリーと同世代の登場人物は他に、ウィルキンソン先生のトンデる娘デビーくらいで

だからこそ、バレエをやってる事でいじめられたりする場面がないのだけれど

彼だけってのがどうも――な感じ。

後者は、フェイドアウトの仕方が余りにも寂しすぎて物足りない。

あるサイトでは、この映画の最大のテーマはこの先生だ!と言い切っていたが

それなら、ビリーが去った後の先生の表情をもっと長く観たかったな。

だが、指導者というのは、そういうものなのかも知れない。

私は、誰が何と言おうと、マッチョは嫌いなのだが

成長したビリーを演じるアダム・クーパーの、あの逆三の背中や

華麗なフライング・スワン(そんな言い方が正しいのかどうか知らないが)を観るだけでも心騒ぐ(笑)。

ラストに感動したら、バレエを観に行きたくなるに違いない。

アダム・クーパーの白鳥は、絶品らしいっす。

(07/30/02)


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